足場板の伝道師と考える 杉の可能性。
WOODPRO × asobient 記念対談

木と鉄の融合

足場板の伝道師と考える
杉の可能性。

株式会社WOODPRO
ホールディングス
代表取締役
中本 敬章
asobient
立和名 康隆
2022/06/28

新生住建リースとして
何か始めようぜ!

立和名
この度は、このような時間をいただきありがとうございました。
今日は色々とお話を聞かせていただくんですけど、まずは御社WOODPROさんについて教えていただけますか?
中本社長
はい、弊社はWOODPROという名前で現在35期を迎えています。
昔は住建リースという名前でうちの親父が創業しました。元々杉足場板というちょっと特殊な資材のレンタルリースを本業としてやっていまして。
僕が入社して2週間後に天災で水没したんですね、主力の工場が。(笑)
立和名
(笑)
中本社長
そういう事件がございまして、約1年かけて事業整理、結果的に工場閉鎖、営業部解体、債務超過、というのが最初ですね。
立和名
マイナスのスタートだったと。
中本社長
はい。その1年後ぐらいに今の専務の栗栖が合流して、新生住建リースとして何か始めようぜと。元々あった杉足場板のリース業を細々と続けながら、やりたかったエクステリアに進出していった途端に値段がガンガン下がっていって…。
試行錯誤しながら最終的にはネットで売ろう、というのが1999年の暮れですね。
2000年の3〜4月にネットショップをオープンしたけど全く売れなかったと。(笑)
立和名
(笑)ネットショップは自分たちで作ったんですか?
中本社長
そう、僕がページを作りました。今見たら笑いますね。
日中は現場に施工に行き、夕方ネットショップを覗いては「今日もあまり売れてないね」というのがしばらく続きましたね。

昔は使えなくなった足場板を全部燃やしてたけど、そんなことがまだ許された時代でしたね。「確かに足場板としては使えんけど、もったいないのう、なんとかならんのかのう」というのが親父の口癖で、それが引き金にはなってますね。 それで、足場板の厚みを削って、キズや日焼けした部分を落としてリサイクルウッドと銘打って、プランターを作り、ネットショップや地元のお店で売り始めました。
足場板の伝道師と考える 杉の可能性。

役割を終えた後に
使い込まれた風合いがね、
非常にいいなと。

立和名
僕が考える足場板の魅力っていうのは、風合いだと思っているんですね。どれひとつとしておんなじ顔というか、面を見せないと。
現場で実際に使われてきた、その仕事した感っていうのが足場板の魅力なんじゃないかなと思うんですけど、社長さんが思うところの足場板の魅力っていうのはどういったところがあるんですか?
中本社長
そうですね、足場板の本来の使い方とすれば、とにかく人命を守って作業する作業板なんですけど、その役割を終えた後に使い込まれた風合いがね、また違うインテリアとして活かされるっていうところが、非常にいいなと。

はじめは、表面の味のある部分をわざわざ削ってプランターにしていたんですが、ある時「ダメージを受けて、日焼けした部分こそ味わい」だということに仲間が気づかせてくれて、それを我々は更に磨いてブラッシュアップして世に伝えると。その杉足場板、使い込まれた足場板の魅力とその使い方の可能性みたいなものをしっかり発信していく、というのが我々の今のミッションにはなっていますね。
足場板の伝道師と考える 杉の可能性。

約半分はアップサイクルされて新たな命が輝いているね。

立和名
今いろいろインテリアやエクステリアで足場板が使われているということだったんですけど、WOODPROさんの方で、足場板はどういった商品に使われていますか?
中本社長
足場板に関しては、やっぱり我々が目指すものは家具ですね。
我々が回収した足場板の約20%ぐらいは家具や、インテリア商品、雑貨類に変わって、いわゆるアップサイクルですかね。
あとは内装建材。床とか壁とか、特に店舗関係のそういう内装材として広く使っていただいている。まぁこれが約27%ぐらい。
約半分はアップサイクルされて新たな命が輝いている、という状態になっていますね。
立和名
カフェとか、美容室とかでもこういう足場板を内装で使っているのをよく見ますし、ガーデニングとかでもいろいろと使われていることで、今度はそれらを超えるような商品をお互いに生み出せていければなぁと思っております。
足場板の伝道師と考える 杉の可能性。

こう足がグッと板に
食い込む感じがいいですね!

立和名
では社長、今回のコラボ商品の組み立てを早速。
まずはこの足ですね、足の、ここの2つ、あるんですけど、この上の方に、板の差し込みをしていただいて。で、ちょうどこういいとこに足を開いて。
中本社長
いいところに入るんですね。
立和名
そう、そうなんすよ。
うまーく、横においたらちょうどいい広さっていうところを目指しました。
で、あとは下に足を入れていただいて…
こんな感じで。結構しっかりしてるので、丈夫だと思います。
中本社長
おおー!
こう足がグッと板にに食い込んでいく感がいいですね。

アジャスターなくてもグッとこうね、押し込んで。
立和名
そうですそうです。
これ今床の上なんですけど、芝とかだったらほんとにグッと入り込んでしまって、安定感さらに増しますね。
足場板の伝道師と考える 杉の可能性。

これは育って行くのでね、
そこが面白いところですね。

立和名
この商品を僕がなんで作りたかったかっていうと、自分が使いたかったっていうのがあるんですよ。(笑)
中本社長
そういうの大事です。(笑)
立和名
僕はよくキャンプに行くんですけど、流行りのインスタ映えではなく、実務的にこういった棚があって、使えるといいなっていうのがあって。
ピンときたのが、WOODPROさんの足場板。木と鉄のお互いの良さが出せるもの、ということでこれを思い付いて作ったんですけど、実際どうですか?
中本社長
いいと思います。
僕もキャンプ好きなんで。キャンプ道具ってリアルな木を使ってるものが意外と少ないんですよね。鉄の丈夫さっていうのと、木の柔らかさっていうのはすごく相性がよくて。

どっちか一方でも成り立たないんだけど、組み合わせることによってお互いを引き立てるっていう良さがね。
立和名
相性いいですよね。
今回のコラボではお互い素材の良さを活かしてるんですよ。
うちが持ってきた鉄も、無垢の方がいいかなと思って。御社の栗栖さんにも、足場板を加工しないでくれ、ワイルドな方がいいんだよ、と。
中本社長
使えば使うほど味わいが増してくるっていう素材ですからね。
市販品は、使えばだんだん残念な感じになってくるけど、これは育って行くのでね、そこが面白いところですね。
立和名
買っていただいたお客様が自分で育てて、味を出していくというか。
アンティーク感を自分で作っていける商品がいいなと思ったんで、まずはこういった形で商品の選定をさせてもらった、という感じですね。
中本社長
オートキャンプを前提に考えると重量はそんなに問題にならなくて、パッキングさえできれば。僕がキャンプに行く時は、木のボックスと板でコーナー作って。そこに焼けた鍋を置いて焦げても、それはまた味わいのひとつになって歴史を刻んで行くんで使い勝手はいいっすね。 金属とかは使ったらまた拭かなきゃならないけど、木は染み込んでそのうち乾くんで。いろんな意味で優秀やと思いますよ。
足場板の伝道師と考える 杉の可能性。

「つくる責任・つかう責任」は、
20年前から意識しています

立和名
足場板は、役目を終えたものに新たな命を吹きまれているんですけど、実際リユースに対する取り組みっていうのは、御社ではどういった形で?
中本社長
もう20年くらい前になりますけど、うちのリース業界の取引先の方からですね、鉄やアルミは溶かしてまた再利用できるけど、木は困るよねと。なんとかならんのかとずっと言われて…。 ちょうど我々が足場板をリユースしてプランター作りを始めた時期だったんで、うちで原材料として引き取らせていただいて、再利用するということを事業展開としたのがきっかけです。
立和名
今、全世界的にね、SDGsの取り組みっていうのが課題になっています。 足場板のリユースはSDGsの項目12番の「つくる責任・つかう責任」の方に大きく貢献されていると思いますし、目標とされているところだとは思うんすけど、そういった面ではどういうことに取り組まれていたりするんですか?
中本社長
「つくる責任・つかう責任」っていうのはその2003年ぐらい、それこそ20年前から意識してそういうことを始めて。
足場板は我々が作った基準によって、再利用できるものとできないものを選別していくんですけど、約半分はアップサイクルという形で新たな命を吹き込んで価値を生み出す。 残りは再生エネルギーとしてリサイクルをするというところで。
多分今年はですね、ほぼ100%アップサイクルとリサイクルが達成できるのかなとちょっと目論んでます。
足場板の伝道師と考える 杉の可能性。

広島のものづくりを
もっと盛り上げていきたい!

立和名
今回、このコラボにあたって、僕が足場板のファンだったということ以外に、広島の地場の企業さんと共同したものづくりをしたかったんですね。made in Hiroshimaというところに、何かしらこだわっていきたいな、と思っていて。
僕の目標は「金物食器だったら燕三条」と同じように「ものづくりだったら広島でなんでもできるね」って言われることなんですよ。だから、広島の製造業を盛り上げて、業種の垣根を超えて新しい商品を生み出すことで、広島のものづくりっていうのをもっと盛り上げていきたいなと思ってるんですよ。
社長さんは、広島のものづくりで一緒にコラボされたりというのはあったりしますか?
中本社長
僕、広島でのコラボはなかったんで、今回すごく平岡工業さんとの取り組みを楽しみにしてたんです。基本的に自社でできることって限界があるんで、コラボによって魅力と可能性を広げられるのがポイントだと思いますね。これから今まで以上にどんどんコラボをしながら、何か新しいものを作っていけたらなとは思いますね。
立和名
今狙っているところとかなんかあります?
こんなとこでこんなことがしたいなとか。
中本社長
僕もアウトドア派なんで、趣味っていうかライフワークとなっている部分でなにか貢献できたらいいなと。
僕、ワークショップでデッキ作ったり、焚き火したりっていうのが好きでよくやるんですけど、そういう延長線上で自分も楽しみながら、でもちゃんと最終的には仕事に帰ってくるようなことができると仕事も楽しくなる、というようなことが基本かなと思いますね。
立和名
楽しくなる、確かにそうですね。
うちは専務がこの春からものづくりに特化したラジオ番組を始めていまして。
ものづくりの企業の方たちを招いたり、いろんなグッズを開発したりしながら広島のものづくりを盛り上げていこうと思っているので、ぜひ社長さんもご出演いただければと思います。
中本社長
私でよければ。
立和名
ぜひその時はお話を伺えればと思います。よろしくお願いします!
足場板の伝道師と考える 杉の可能性。

魅力と可能性の追求!
みんなに愛されるブランドに!

中本社長
WOODPROとしてはとにかく杉足場板、この魅力と可能性の追求というのをテーマに、日本の杉をもっともっと素敵に使ってもらえる、そんな暮らしのお手伝いをしたいなと思います。
よろしくお願いします!
立和名
この7月から新しいチャレンジが、平岡工業asobientというところで始まります!
みんなに愛される、ものづくりが楽しいと思える、そんなブランドとして成長させていこうと思います。皆さんよろしくお願いいたします!!

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